人材育成・コンサルティングのアイベックス・ネットワーク

人材育成・コンサルティングの株式会社アイベックス・ネットワーク

コラム

COLUMN

組織風土の改善は「経営の判断基準」から始まる:当事者意識が低い原因と構造的アプローチ

組織風土の改善を阻む「見えない空気」の正体

多くの企業において、経営層や人事部門が「組織風土の改善」を重要な経営課題として掲げています。しかし、数々の施策を打ち出しても、現場に浸透せず、以前と同じ状態に揺り戻してしまうケースが後を絶ちません。なぜ、組織風土を変えることはこれほどまでに難しいのでしょうか。

その最大の理由は、組織風土を「空気」や「雰囲気」といった、実体のない曖昧なものとして扱ってしまっていることにあります。風土とは自然発生的に生まれるものではありません。これまでの経営の意思決定、評価制度の運用、権限の配分、そして日常の業務プロセスにおける「判断の積み重ね」が結晶化したものが、組織風土という結果となって表れているに過ぎないのです。

株式会社アイベックス・ネットワーク(IBEX)は、組織問題は「人」ではなく「構造」から生まれるという哲学を持っています。組織風土を「空気の入れ替え」のような精神論や意識改革で解決しようとする限り、真の改善には至りません。本記事では、経営層や人事担当者が直面する「当事者意識の欠如」や「部署間連携の壁」といった課題を、個人の資質ではなく組織構造の観点から解き明かし、本質的な組織風土 改善への道筋を提示します。

「当事者意識が低い原因」は個人のモチベーション不足ではない

経営陣から頻繁に発せられる「うちの社員は当事者意識が低い」という嘆きがあります。この課題に対して、多くの企業は「マインドセット研修」や「モチベーション向上施策」を実施しようとします。しかし、当事者意識は「持て」と強制して持てるものではありません。

当事者意識は「やらせる」ものではなく構造から「生まれる」もの

当事者意識が低い原因を深く掘り下げると、社員の意欲不足ではなく、組織の構造そのものが「当事者意識を持たない方が合理的である」という環境を作り出していることに気づきます。

例えば、現場に目標達成の責任だけを重く課し、それを達成するための予算権限や裁量を与えていない場合、社員はどう感じるでしょうか。自ら新しい提案をして失敗すれば減点され、成功しても見返りが少ない環境下では、自発的に動くことはリスクでしかありません。つまり、当事者意識を持たないことは、社員にとって自分を守るための「合理的な適応」なのです。

著書累計10万部を超える弊社代表・新井健一の『働かない技術』などの視点からも言えることですが、現場における「働かない(あえて動かない)」という選択は、組織の矛盾に対する自己防衛として機能してしまっています。当事者意識を引き出すためには、意識に働きかけるのではなく、権限と責任のバランスを整え、自ら意思決定できる「構造」を設計することが不可欠です。

「指示待ち 若手 組織」を生み出す合理的なリスク回避

若手社員に対して「指示待ちが多い」と不満を抱く管理職も少なくありません。しかし、「指示待ち 若手 組織」を作り出している真犯人は、若手の世代的な特徴ではなく、失敗を過度に許容しないマネジメント構造にあります。

プロセスを過剰に管理し、細かなミスを厳しく追及する風土の中では、若手は「自分で考えて行動し、叱責される」リスクを回避しようとします。結果として、「上司の明確な指示が出るまで待つ」「マニュアル通りのことしかしない」という行動パターンが最適解となります。管理職自身がプレイングマネージャーとして疲弊し、部下の失敗をカバーする余裕がない組織構造も、この「指示待ち」を助長しています。若手を自律的な人材に育てたいのであれば、まずは「失敗から学ぶことを許容し、評価する構造」へ転換しなければなりません。

「組織風土 変わらない 理由」は日常の経営判断と評価にある

大々的な風土改革プロジェクトを立ち上げても、数ヶ月後には「組織風土 変わらない 理由は何なのか」と頭を抱える企業は少なくありません。その答えは、日常の経営判断と人事評価の仕組みの中に隠されています。

評価制度は単なる査定ではなく「組織からのメッセージ」

人事制度や評価制度は、単に給与や賞与を決めるための計算式ではありません。「この会社ではどのような行動が是とされ、何が非とされるのか」を社員に伝える、経営陣からの最も強力なメッセージです。

経営トップが「これからは挑戦する風土を作る。失敗を恐れるな」とメッセージを発信したとします。しかし、実際の昇進・昇格人事において、新しいことに挑戦して失敗した社員が評価されず、前例を踏襲して無難にミスなく業務をこなした社員ばかりが出世していく現実があれば、現場の社員はどちらを信じるでしょうか。間違いなく、言葉ではなく「実際の昇進人事」という現実を信じます。

制度と運用の乖離、つまり「言っていることとやっていることの矛盾」こそが、組織風土が変わらない最大の理由です。制度設計の背景にある「経営思想」が現場の運用レベルまで一貫していなければ、風土は決して変わりません。

トップの経営思想と現場ルールの乖離が風土を停滞させる

さらに、日常の意思決定プロセスも風土に直結します。現場からの改善提案が、何層もの承認プロセスを経て結局却下されることが続けば、社員は「何を言っても無駄だ」という学習性無力感に陥ります。このシニシズム(冷笑主義)が蔓延した状態では、いかなる新規施策も「どうせまた一過性のものだろう」と冷ややかに受け止められます。

組織風土を改善するためには、経営層自身が自らの意思決定の基準や、評価を通じて発信している「見えないメッセージ」を言語化し、矛盾を取り除く作業から始める必要があります。

「部署間 連携 改善」を妨げるKPIのサイロ化と構造的対立

組織が成長し規模が大きくなると、部門間の壁が高くなり、「部署間 連携 改善」が喫緊の課題となります。コミュニケーション不足や部門長の相性の悪さが原因とされがちですが、本質はそこにはありません。

各部門の「部分最適」が連携を拒むメカニズム

部門間の対立は、多くの場合、設定されたKPI(重要業績評価指標)の構造的な矛盾によって引き起こされます。典型的な例が、営業部門と製造部門の対立です。営業部門は顧客の細かな要望に応えるため「短納期・小ロット」をKPIとして追求します。一方、製造部門は生産効率を最大化しコストを下げるため「長納期・大ロット」をKPIとします。

双方が自部門に課せられた目標を真面目に達成しようと努力すればするほど、ベクトルが逆を向き、対立が深まる構造になっています。これをコミュニケーション研修などで「お互いを理解し合いましょう」と宥めても、KPIが相反している以上、根本的な解決にはなりません。連携を阻んでいるのは「人の心」ではなく「部分最適を強いる目標管理の構造」なのです。

経営全体の視座(MBA的思考)とアクションラーニング(AL)の融合

この構造的対立を乗り越えるためには、各部門を牽引する次世代リーダーが、自部門の部分最適を超えて「経営全体の視座(全体最適)」を持つ必要があります。企業の利益構造やバリューチェーン全体を俯瞰できなければ、妥協点を見出すことはできません。

IBEXが提供する「次世代リーダー養成」プログラムでは、部課長選抜・後継者を対象に、経営戦略、マーケティング、アカウンティング・ファイナンス、組織人事といった「MBAコース」と、実際の自社課題を解決する「アクションラーニング(AL)コース」のハイブリッド方式を採用しています。知識として経営の基礎を体系的に学ぶだけでなく、実務課題と往復しながら視座を引き上げることで、部門間の壁を越えた本質的な連携と課題解決を同時に達成することが可能になります。

「本音が出ない 組織 改革」とコンプライアンスの空回り構造

近年、企業不祥事の防止に向けてコンプライアンス体制を強化する企業が増えていますが、その副作用として「本音が出ない 組織 改革」に悩むケースが散見されます。

なぜルールを徹底するほど心理的安全性が失われるのか

コンプライアンス研修を実施し、規則やマニュアルを緻密に整備することは重要です。しかし、「やってはいけないこと」ばかりを強調し、違反者への罰則を厳格化するだけのアプローチは、組織に恐怖と萎縮をもたらします。

「言質を取られたくない」「余計な発言をして責任を問われたくない」という心理が働くと、会議では当たり障りのない意見しか出なくなり、リスク情報は意図的に隠蔽・矮小化されるようになります。本音が出ない組織では、現場で起きている小さな異常(ヒヤリ・ハット)が経営層に届かず、結果として取り返しのつかない巨大な不祥事へと発展するリスクが高まります。企業不祥事は個人のモラル低下だけで起きるのではなく、問題を報告できない「組織の構造」が引き起こすのです。

VUCA時代に求められるコンプライアンス意識と情報収集力

コンプライアンス研修が空回りする理由は、ルールの背景にある「経営思想」や「なぜそのルールが必要なのか」という本質的な議論が欠如しているためです。

IBEXでは、先行きが不透明なVUCA時代に対応するためのリーダーの必須3要素として、「情報収集力」「会計・ファイナンス力」「コンプライアンス意識」を定義しています。コンプライアンス意識とは、単にルールを暗記することではありません。変化の激しい事業環境において、自社のビジネスが社会にどのような影響を与えるかを想像し、情報を多角的に収集した上で、倫理的かつ合理的な経営判断を下す力のことです。この視点を持つことで、コンプライアンスは「足枷」ではなく、持続的な成長のための「羅針盤」として機能し始めます。

組織風土 改善に向けたIBEXの本質的アプローチ

組織風土という複雑な課題に対して、単一の特効薬は存在しません。2001年の創業以来、「ヒトと組織の卓越性を追求する」理念を体現してきたIBEXは、6つの事業(コンサルティング、人財育成・支援、調査・診断、企画・製作支援、アウトソーシング、国際ビジネス支援)を統合的に提供することで、企業の根本的な体質改善を支援しています。

「研修ありき」を脱却し、組織設計から見直す

IBEXの最大の特徴は「研修ありきではなく、必要なら研修を提案しない」という姿勢にあります。前述の通り、組織課題の根本が「評価制度の矛盾」や「権限の欠如」にある場合、そこに研修を実施しても「良い話を聞いた」で終わってしまいます。

組織設計(構造)を見直し、経営層の意思決定プロセスを整えた上で、それと連動する形で初めて研修が真の効果を発揮します。顧客と協働で真の課題を設定し、トップの意思を実現するまでのシナリオライティングを共に行うことが、長期パートナーとしての信頼に繋がっています。

人的資本経営に準拠した効果測定と組織診断の連動

また、研修や育成施策を実施する際には、「やりっぱなし」を防ぐ仕組みが必要です。IBEXでは、経済産業省が提唱する「人的資本経営」に準拠した教育効果測定を体系化しています。投資に対するリターンを可視化し、施策の有効性を検証しながら改善サイクルを回します。

さらに、役員から係長までを対象とした「選抜&育成型アセスメント」や、グローバル企業でも導入されている独自教材「SPトランプ®」を活用し、組織の実態や個人の行動特性を深く診断・可視化します。これにより、勘や経験に頼らない客観的なデータに基づいた風土改善が可能になります。

顧客の実情に合わせたフルカスタマイズの伴走支援

組織風土は企業ごとに全く異なります。そのため、画一的なパッケージの導入では効果が期待できません。

富士ホールディングス様から「ほぼフルカスタマイズでのご対応が弊社にとって最大のメリット」と評価いただき、橘学苑様からは「組織の実情に合った指導・援助を丁寧に実施」との声を頂戴しています。また、石屋製菓様のように「新入社員から部課長、製造パートまでほぼ全階層の教育を担当」させていただくなど、業種や規模を問わず、一貫した経営思想のもとで組織全体を統合的に支援できる点がIBEXの強みです。

まとめ:組織課題の言語化と構造的アプローチから始めよう

組織風土の改善は、「空気」を変えようとする精神論や、個人の当事者意識に依存するアプローチでは決して成功しません。

当事者意識が低い、指示待ちが多い、部署間連携が進まない、本音が出ない――。これらの現象はすべて、組織の構造や日常の経営判断、評価制度が発する「見えないメッセージ」に対する社員の合理的な適応の結果です。経営層や人事責任者がまず取り組むべきは、自社の組織構造が抱える矛盾を直視し、「なぜその現象が起きているのか」を因数分解して言語化することです。

制度を変え、構造を整え、日常の意思決定の基準を経営思想と一致させる。その一貫したプロセスの先にこそ、真に当事者意識に溢れ、自律的に連携する強い組織風土が醸成されます。

自社の組織課題をより深く洞察し、構造的な解決策を見出すためのヒントとして、IBEXが提供する「AI思考実験」もぜひご活用ください。本質的な問いを通じて、組織風土改善への新たな視座が得られるはずです。

詳細はこちら:AI思考実験

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