人材育成・コンサルティングのアイベックス・ネットワーク

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コラム

COLUMN

組織風土の「改善」を加速する次世代リーダーの役割:実課題解決を通じた構造変革アプローチ

組織風土の「改善」が頓挫する根本原因:見えない要素の無視

組織風土の「改善」に取り組む多くの企業が、数年経っても同じような悩みを抱え続けています。中堅・大企業の人事担当者や経営層から、「現場の当事者意識が低い」「指示待ちの若手が多い」「部署間の連携が弱い」といった声が絶えることはありません。

なぜ、組織風土の「改善」はこれほどまでに難しいのでしょうか。その最大の理由は、組織風土を「空気」のように扱い、直接的に変えようとする誤解にあります。

風土を「空気」のように扱う致命的な誤解

多くの企業は、組織風土の「改善」を「空気の入れ替え」であるかのように錯覚しています。その結果、挨拶運動やビジョン共有のワークショップ、あるいはコミュニケーション活性化を目的とした社内イベントなど、表層的な施策に終始してしまいます。

しかし、組織風土とは空気のような実態のないものではありません。経営トップの意思、日常の意思決定の積み重ね、評価制度、権限規定といった「見えない要素(構造)」が長期にわたって沈殿し、形作られた結果にすぎないのです。結果である風土を直接変えようとしても、原因である構造が変わらなければ、現場はすぐに元の状態に戻ってしまいます。300社超の組織診断実績を持つ株式会社アイベックス・ネットワーク(IBEX)の知見からも、この「見えない構造」を無視した風土改革が成功した例はありません。

当事者意識は「やらせる」と生まれないという逆説

「社員にもっと当事者意識を持ってほしい」という経営層の切実な願いは、しばしば逆効果を生み出します。なぜなら、当事者意識は研修やスローガンで「やらせる(持たせる)」ものではないからです。

「当事者意識 低い 原因」を個人の資質やモチベーションの不足に求めるのは非常に危険です。現場の社員が当事者意識を持たないのは、持たない方が合理的だからです。自ら課題を発見して提案しても、複雑な決裁プロセスに阻まれて時間がかかるだけであったり、失敗した際に減点される評価制度が存在したりすれば、社員は「言われたことだけをこなす」ようになります。当事者意識は、適切な権限と責任、そして挑戦を許容する組織構造のなかで、自然と「生まれる」ものなのです。

なぜ現場は停滞するのか?「指示待ち」と「部門間の壁」の構造的メカニズム

組織風土の「改善」を進めるためには、現場で起きている事象を個人の問題としてではなく、構造的なメカニズムとして因数分解する必要があります。

「指示待ち 若手 組織」を生み出す過剰な防衛とリスク回避

近年、「指示待ち 若手 組織」に頭を悩ませる管理職が増えています。しかし、若手社員に主体性がないわけではありません。彼らは、組織が発する無意識のメッセージに忠実に適応しているだけです。

例えば、業務の細部まで規定されたマニュアル、上司による過剰なマイクロマネジメント、少しのミスも許されない減点主義の評価などが挙げられます。こうしたリスク回避を最優先する組織構造の中では、自発的に動くことは「勝手な行動」としてリスクになります。結果として、「指示を待つことが最も安全である」という合理的な防衛行動が、指示待ちの若手を量産しているのです。管理職が機能しない、あるいはリーダーが育たない原因も、個人のスキル不足ではなく、この「リスクを極小化する組織構造」に帰着します。

「部署間 連携 改善」を阻む部門別KPIのサイロ化

「部署間 連携 改善」が進まない理由も同様に構造的な問題です。多くの企業では、部門ごとに異なるKPI(重要業績評価指標)が設定されています。例えば、営業部門が「売上の最大化」を追う一方で、製造部門や管理部門が「コスト削減」や「稼働率の安定」を追っている場合、両者の利害は必然的に衝突します。

この構造的な対立を放置したまま、「部門間のコミュニケーションを活性化しよう」と交流会を開いても、根本的な解決には至りません。部分最適なKPIがサイロ化を生み出し、協力するよりも自部門の目標達成を優先するインセンティブが働いている限り、部署間の壁は厚くなる一方です。全社的な経営の視座からKPIの矛盾を解消する構造の再設計が不可欠です。

研修や意識改革だけで「組織風土 変わらない 理由」

組織課題に直面した際、安易に「研修」という解決策に飛びつく企業は少なくありません。しかし、2001年の創業以来、人財育成と組織開発のプロフェッショナルとして支援を行ってきたIBEXは、「研修ありきではなく、必要なら研修を提案しない」という姿勢を貫いています。

良い話で終わる研修の限界

意識改革を目的とした研修を実施し、その場では受講者のモチベーションが上がったとしても、現場に戻ればすぐに「組織風土 変わらない 理由」に直面します。それは、現場の評価制度、決裁プロセス、日常の業務フローといった「構造」が何も変わっていないからです。

「良い話だった」で終わる研修は、効果を生み出さないばかりか、「どうせ現場に戻れば何も変わらない」という学習性無力感を助長し、かえって組織風土の「改善」を遠ざけてしまうリスクすらあります。近年、経済産業省が提唱する「人的資本経営」においても教育投資の効果測定が求められていますが、アンケートの満足度だけでは不十分です。研修は、組織設計と連動して初めて実務のプロセスに変化をもたらし、本質的な効果を生むのです。

本音が出ない 組織 改革の裏にある評価制度というメッセージ

組織風土の「改善」に向けて意見を求めても、現場から声が上がらない。この「本音が出ない 組織 改革」の背景には、評価制度に対する強い不信感があります。

人事制度や評価の仕組みは、単なる処遇の決定ツールではなく、「会社が社員に何を求めているか」を示す最も強力なメッセージです。経営層が「挑戦を歓迎する」と口で言っていても、評価制度が「失敗による減点主義」であれば、社員は制度のメッセージを信じます。また、コンプライアンス研修が空回りする構造も同様です。リスク管理を強調しすぎると、現場は「何もしないことが最大のリスクヘッジ」と学習し、過剰な防衛反応を示します。結果として、誰も本音を語らず、問題が隠蔽される風土が醸成されてしまうのです。

組織風土の「改善」を牽引する次世代リーダーの育成と役割

ここまで、組織風土の停滞が構造から生まれることを解説してきました。では、その構造を変革し、組織風土の「改善」を実効性のあるものにするためには何が必要でしょうか。

経営層がトップダウンで号令をかけるだけでは、現場の細かな構造的矛盾にまでメスを入れることはできません。ここで鍵となるのが、経営の意図を汲み取り、現場の構造を問い直す結節点となる「次世代リーダー」の存在です。代表の著書『いらない課長、すごい課長』(日経BP/発行部数3万部)などでも指摘されている通り、既存のルールに縛られず、経営視点を持ったミドル層の育成が急務です。

経営視座(MBA)と実践力(AL)のハイブリッド

次世代リーダーには、自部門の利益だけでなく、会社全体を俯瞰する高い視座が求められます。IBEXが提供する独自の「次世代リーダー養成」プログラムでは、経営戦略、マーケティング、アカウンティング・ファイナンスといったMBA的思考と、アクションラーニング(AL)による実課題解決のハイブリッドを重視しています。

VUCA(変動性、不確実性、複雑性、曖昧性)の時代に対応するためには、①情報収集力、②会計・ファイナンス力、③コンプライアンス意識という3要素を基盤とし、経営全体の最適解を導き出す力が不可欠です。この視座を持つリーダーこそが、部分最適なKPIの矛盾に気づき、部署間の摩擦を建設的なエネルギーに変えることができるのです。

実課題解決を通じて構造を問い直すプロセス

知識をインプットするだけでは、組織構造は変わりません。次世代リーダーは、実際の業務課題に向き合い、その解決プロセスを通じて「見えないルール」を可視化し、変革していく役割を担います。

これは、現場の「当事者意識が低い」と嘆く側から、自らが当事者として「なぜ当事者意識が削がれる構造になっているのか」を問い直し、再設計する側へと回ることを意味します。次世代リーダーが牽引する実課題解決のアプローチこそが、組織風土の「改善」を力強く前進させるエンジンの役割を果たします。

組織設計と連動して組織風土の「改善」を加速する3つのステップ

本質的な組織風土の「改善」を実現するためには、研修という点のアプローチではなく、組織設計と連動した線のアプローチが必要です。ここでは、IBEXの6事業(コンサルティング、人財育成、調査・診断、企画・製作支援など)の統合支援ノウハウに基づく、具体的な3つのステップを解説します。

ステップ1:見えない経営思想と判断基準の言語化

最初のステップは、経営トップの意思や事業戦略を明確にし、現場の判断基準となる「シナリオライティング」を行うことです。

「自社は何を大切にし、どのような行動を評価するのか」「どのようなリスクなら許容するのか」という経営思想を言語化します。現在、現場を縛っている見えないルールや決裁プロセスの棚卸しを行い、経営思想との間に生じている矛盾(例えば、挑戦を促しながら減点主義を採用している等)を洗い出します。この課題の構造化が、すべての出発点となります。富士ホールディングス様から「ほぼフルカスタマイズでのご対応が最大のメリット」と評価をいただくように、組織ごとの固有の文脈を丁寧に読み解くことが重要です。

ステップ2:ワークショップセミナー(WSS)を活用した実課題の解決

課題が可視化されたら、次世代リーダーを中心とした部門横断型のチームを組成し、IBEX独自の「ワークショップセミナー(WSS)」の枠組みを活用して実課題の解決に取り組みます。

WSSは、単なる座学の研修ではなく、学習と実践を往復するプログラムです。例えば「新製品開発における開発部門と生産部門の対立解消」や「生産管理プロセスの革新」といったリアルな課題を題材にします。課題解決のプロセスで障害となる古いルールや部分最適なKPIを発見し、それを経営陣に提言してルールそのもの(構造)を改定していきます。

また、役員から係長までを対象とした「選抜&育成型アセスメント」や、グローバル企業でも導入されている「SPトランプ®」を活用し、自己認知と他者認知を深めながらチームの多様性を活かすプロセスを組み込むことで、より実効性の高い課題解決が可能になります。この「自分たちでルールを変え、実課題を解決した」という成功体験が、真の意味での当事者意識を生み出します。

ステップ3:人事制度の再定義によるメッセージの統一

実課題解決を通じて新しいプロセスや行動様式が形成されてきたら、それを支えるために人事評価制度を再定義します。

評価制度は「組織からのメッセージ」です。新しい組織構造のもとで求められる行動(部門横断での協力、リスクを恐れない提案など)が、適切に評価・報われる仕組みを構築します。橘学苑様から「組織の実情に合った指導・援助を丁寧に実施」との声をいただくように、制度と風土が整合することで、一過性の「改善」ではなく、持続可能な組織風土として定着していくのです。

まとめ:組織風土の「改善」は構造の再設計と実践の往復から生まれる

組織風土の「改善」は、社員の意識に直接働きかけるアプローチでは決して達成できません。「指示待ち」や「部門間の壁」といった課題は、組織構造への合理的な適応行動です。

本質的な解決のためには、経営思想を言語化し、次世代リーダーが実課題解決(アクションラーニング)を通じて構造の矛盾を正していくプロセスが不可欠です。研修ありきを脱却し、組織設計と連動したアプローチをとることで、初めて当事者意識が自然と生まれる環境が整います。

自社の組織課題の根本原因はどこにあるのか。構造の歪みが生み出す無意識のメッセージに気づくことが、改革の第一歩です。
より深い視点で組織のメカニズムを紐解きたい方は、ぜひ「AI思考実験」をご活用いただき、自社の課題を構造化するヒントを見つけてみてください。

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