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コンプライアンス、ハラスメント教育の格差が生まれる盲点

※当コラムは、企業人事に従事される方にはおなじみの「月刊 人事マネジメント」に寄稿させていただいた原稿を一部加工修正したものです。

◇D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)の啓発と浸透

人的資本経営という言葉や取り組みは、多くの企業内に浸透しつつあると認識する。

人的資本経営とは、「人材を『資本』として捉え、その価値を最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値向上につなげる経営」(経済産業省、2020)を指す。

まさしく「資本」とは投資の対象であり、人材という「資本」に選択と集中を大前提とした適切な投資をすることで、リターンを最大化しようとする経営に他ならない。

そして、当該経営を真に実現するために、D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)の考え方を社内に浸透させようとする動きも活発になっている。

◇ChatGPTはD&Iをどう説明してくれるか?

ではここで、ChatGPTにD&Iについて質問してみよう。

質問「ダイバーシティ&インクルージョンとは何ですか? 」

ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)とは、多様性(ダイバーシティ)と包摂(インクルージョン)を促進し、尊重する考え方や取り組みのことです。

ダイバーシティ(多様性): 人々の性別、年齢、民族、宗教、性的指向、障害の有無、価値観、文化的背景など、さまざまな違いを指します。これにより、組織や社会が多様な視点や経験を持つ人々を受け入れ、成長していくことを目指します。

インクルージョン(包摂): 多様な背景や特徴を持つすべての人々が、公平に参加でき、自分の意見や能力を最大限に発揮できる環境を作り出すことを意味します。単に多様な人々が存在するだけでなく、彼らが組織やコミュニティにおいて活躍できるように支援し、居場所を感じられるようにすることが重要です。

D&Iは企業や教育機関などで広く取り入れられており、異なる背景や考え方を尊重し、多様な人材が活躍できるような環境を整えることで、組織のパフォーマンス向上や創造性の向上に寄与すると考えられています。

出典:OpenAI ChatGPT(回答内容を基に作成)

◇企業の教育体系とキャリア採用の教育格差

また、厚生労働省が推進する働き方改革、労働者の意識や労働市場の変化により期待される人材の流動化も、職場の多様性を後押ししている。実際、(筆者の知る限りではあるが)企業は、人材の潜在能力(ポテンシャル)を重視した新卒採用とあわせて、顕在能力(コンピテンシー)や専門性を重視したキャリア採用も積極的に推進している。

そして多くの場合、人的資本は投資の対象であるため、新入社員研修などを除き能力開発は「選抜者に集中して」が基本となる。

◇ハラスメント教育格差に要注意!

だが、そのようなすみ分けや取み組みに、筆者は幾度か人事担当者が危惧すべきインシデントを見聞した。それがコンプライアンス教育格差、より範囲を絞っていえばハラスメント教育格差だ。特に、即戦力を期待して採用したキャリア人材(もちろん個人差はある)には、注意する必要がある。

積極的な動機でキャリアアップを図りたい求職者の中には、転職を期に年収を上げたい、より重要なポストにつきたいと考えている者も多い。結果、めでたく転職には成功したが、前職では管理職というポストを経験しておらず、転職先ではじめて年収見合いの管理職になった。前職でハラスメント研修は受講しているが、せいぜい市販のeラーニングを視聴した程度。自分としては転職先ではやく成果を出して、会社に自分の優秀さを認めさせたいが、思うように部下が働いてくれない(新米管理職にはそう見える)。

そして、ある日、仕事と家庭の両立に奮闘する女性社員に対して、愚かなセクハラ発言をしてしまった。

他にも、転職先ではじめて管理職になった人物が、自ら有資格者ということもあり、部下に会社の昇格試験等とは無関係な難関国家資格の取得を求め、勉強という名目で休日出勤を強いた。

管理職は法的責任を負う立場である。管理職の不用意な発言や指示命令は、取り返しのつかない問題に発展する恐れがあるため、このような危険を回避するためのスキルは、本来管理職になる前に習得しておくべきものであるが、いずれにせよこれらの新米管理職は管理職の自覚とスキルを欠いていたのである。

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