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研修講師の品質をどう見分けるか

筆者は、これまで社会人向けビジネススクール事業の責任者を2校ほど経験しており、多くの研修講師に接してきたし、自らも講師として多くの現場に立ち続けている。

さて、今回は「研修講師の品質をどう見分けるか」であるが、受講者に研修プログラムを提供する際に、絶対避けなければならないのは、講師として受講者に「教えてやっている」という意識や態度である。そして、そのような意識や態度が端的に現れるのは、敬語だ。

したがって、受講者が仮に講師よりはるかに年下、例え新入社員だったとしても、首尾一貫して敬語を使おうとする講師、このような態度で臨む講師が品質のよい講師なのである(しかしながら、人事担当者、責任者として、受講者にそのような姿勢で臨んでほしくない場合は、その旨を率直に伝えた方がよいだろう。そのような要望に即応してくれるのも、また品質のよい講師なのである)。

また、品質のよい講師は、仮にその道のプロとして知識や経験が豊富だからといって、受講者を言い負かしたり(マウントしたり)、尊大な態度をとったりは決してしない。間違えがあればすぐに謝る。

確かに、講師にもキャラクターというものがあるし、人事担当者、責任者としても受講者に媚びを売ってほしいと望んでいるわけではないと思うが、少なくとも受講者から見て「話しかけやすい、取っ付きやすい、優しそう」と見なされるぐらいが、先ずはちょうど良さそうだ。

たとえば筆者の知る中で、はじめ「ちょっと、教え方が優しすぎませんか?」とよく言われる講師がいる。それはやや過大な謙遜の裏返しなのか、自分の会社の社員(受講者)を低く見積もり、そう口にする人事担当者などには特にそう言われてしまう講師だ。しかしながら、そのうち明るく、笑顔を絶やさず、時にはユーモアを交えて伝えている話の『内容』が概ね、時にはかなり厳しいことが分かり、「優しすぎませんか?」などという声は、すぐに無かったことになる。

たった半日でやさしいと言われたり、厳しいと言われたり、同じ講師の仕業なのだ。

だがそれはテクニックではない。この講師と長く関わる中で筆者が認識したことは「この講師は心から受講者に尊敬の念を抱いている」ということだった。そして、筆者が見立てる品質の講師とは、受講者に対して常に、心から尊敬の念を抱いている講師のことであり、その姿勢は人事担当者や責任者が講師のちょっとした言動から、その品質を見極める際のポイントになるであろう。